講座「読む人の気持ちをつかむ文章術」の質問に答えます

2015年冬期大阪藝術学舎の授業を受講してくれた方の質問に答えるコーナーです

一人よがりの文章から脱却する方法は…? by I.Nさん

 私は通信部の写真コースに在籍していますが、写真と文章で物語を綴りたいと思っています。ただ、その文章は写真の見方を強要したり、こうだと断定するものであってはいけません。撮影者と写真を見た人の思うことは一致しません。共感したり違和感を覚えたりすることが大切だと思います。

 しかし、私が文章を書くと一人よがりの文章になってしまいます。自分では、面白く、人に伝えられると思って書いていても、後で読み返すと、人に強要するような感じの内容になっています。一回目の「文章が面白くなる秘訣」で、「面白くないのに面白いと勘違いしてしまいやすいケース→自慢したい気持ちがあるとき」の内容そのものになってしまいます。授業では「自分の心から出てきた素朴な思いを書く」「下書きを書きながら考えてみる」とありますが、その下書きからどのように組み立てていけば、一人よがりの文章から脱却できるのでしょうか。

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f:id:pasoco:20150322225843j:plainお答えします!

自分が面白いと思って書いたのに、人に面白くない(押しつけがましい)と思われる場合は、きっとまだまだ自分の中の面白い判定レベルが低いのかもしれません。もっと上げなくては。

面白いというのは感動です。わくわくしてときめいて、早く誰かに伝えて一緒に共有したい、ぴっちぴちでつかんだ手から逃げ出してしまうような、そんな感情です。何となくこの辺をこんな感じで書いたらかっこいいかな、というレベルでは面白い文章の種にはなりません。

写真にたとえると、きれいな景色を美しい構図で上手いこと撮りました(どやっ)という写真が一人よがりの文章で、発見して感動してこの美しさをどうにかして伝えたいと夢中になって撮った一枚は一人よがりではない思いが伝わる文章です。

下書きを書くのは、ぴっちぴちの思いを見つけ出すためです。シャッターチャンスを探してあちこちうろうろする感じ? 無駄足もいっぱいあります。が、これだと思うものを見つけたらあとはどうやって組み立てよう…なんて悩まなくても、その思いが引っ張ってくれていつの間にか書けているはずです。
思いが強すぎるあまり、強要するような文章になっていることもあるかもしれません。でも、大丈夫。そのための推敲です。強要する感じだなと思えば表現を変えたり削ったりしていけばいいのです。