講座「読む人の気持ちをつかむ文章術」の質問に答えます

2015年冬期大阪藝術学舎の授業を受講してくれた方の質問に答えるコーナーです

似たような文章になってしまう… by 風呂敷ひげ郎さん

文章を書く楽しみ。

それは自分の心が動いたことをどんどん紙に殴り書きしている時である。日常とは違い、素直な私と出会えるからである。そしてその後は書き殴ったメモを苦しみながらまとめてゆくことになる。このまとめから完成に向かう作業の中で、最近「アレッ」と思うことがある。

1つはバラバラの文章をまとめてゆく際、接続詞を多用してしまう事。使えば使う程、文章の流れやリズムがなくなるとは知りつつ、止められないのだ。

2つめは、完成した文章を読み返してみると、「アレッ、この文章、以前にも書いたことがあるのでは」と思う事。新しい事、感動したことを中心に書いているはずなのに、まとめてみると、今までと似た構成、似たような帰結になって、ガッカリしてしまう。

以上2点、教えていただければ助かります。

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f:id:pasoco:20150322225843j:plainお答えします!

1つ目のお悩み、接続詞を多用してしまうということですが、この質問には接続詞は1度しか登場していませんね。普通より少ないくらいで、そのおかげで、前へ前へのめりこむような勢いのある独特の文章になっていると思います。この一度しか出てこない「そして」も、取ってしまっても意味は通じます。むしろ取っちゃったほうが自然につながるかもしれません。

授業でもお答えしちゃいましたが、もし普段書いてる文章に接続詞がいっぱい出てしまうのなら、たぶんそれが風呂敷さんの書くリズムなんだと思います。書くリズムを矯正しようとすると勢いがなくなっちゃうので、気にせず、そのままその調子で書き殴ってください。そして、推敲のときに接続詞を削ってみましょう。思い切って、一度、わざと全部取ってみてもいいかもしれません。案外、取っても意味が通じちゃいます。なーんだ、取っても大丈夫じゃないかと分かったら、適切な量まで減らせると思います。
ちなみにわたしは、初稿では「たぶん」と「いろいろ」を何度も書いてしまうので、せっせと推敲時に削っています。

もうひとつ、接続詞だらけになる原因を思いついたのですが、もしかしたら気が乗らない、書くことがあまりないけど長い量を書かなくちゃいけないというときに多くなってしまう、ということがあるかもしれません。中身がないから間をつなぐために接続詞を書いてしまう。このケースの場合は、中身をよく考えて充実させれば、接続詞の登場は減るかもしれません。

2つ目のお悩みですが、書きなれた人は誰でもあるあるとうなずく悩みかも。わたしも毎回違うこと書いているつもりなのに、自分のエッセイを集めて並べてみたら何だかワンパタかも…と反省しました。同じ人が書いてるのだもの、しょうがないですよ…と言ってしまうと答えにならないので、ワンパタから脱出する方法として文字数をガラッと変えるという提案をしてみます。1000字くらいで書いたものを400字で書いてみる。文字数が変わると、50m走とマラソンくらい意味合いが変わります。走り方も変わります。何を入れ、何を捨てるかを考え直すので、自分のパターンが壊れます。ポイントは最初から400字用に書くのではなく、1000字で完成させてから400字にすることです。何ひとつ削れない…!と頭を抱えて、悩んだあげく、きっと新たな取捨選択の基準が生まれるでしょう。とっても推敲力が鍛えられます。おためしください。