講座「読む人の気持ちをつかむ文章術」の質問に答えます

2015年冬期大阪藝術学舎の授業を受講してくれた方の質問に答えるコーナーです

聞くこと、取材編集について by N.Aさん

4回の講座を通じて学んだことは、「おもしろいの探し方」、「思考という海の泳ぎ方」であり、「自分の小さな思いをつなぎ留め、ひもとく覚悟」や読者との関係性でした。

書くことの準備や、調理の段取りについて、少しずつイメージができたり、なんとなく自分がやっていた行為を外部化して見つめることができ、「なるほど、これはそういうことだったのか」と確認ができたりしました。

同時に今回書くことの対にあることが気になっています。すなわち、それは聞くことです。出来事は今、自分の目の前にころがっている事象だけでなく、常に対峙する他者の声や出会いにとって生じるものではないでしょうか。文章の関係性は、読者だけではなく出来事とその先にある人であったり、取材対象者の声との環境の中で生じるものではないかと考えております。

今までの授業を振り返っての質問は、聞くことや、取材編集についての不可欠な段取りや、モットー・秘訣などを詳しくお聞きしたいです。

よろしくお願いします。

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f:id:pasoco:20150322225843j:plainお答えします!

聞くこと(取材)にも、今回の授業がとっても役に立つのです。

取材を申し込むには、なぜ取材したいのかをその人に伝えなくてはなりません。その人のどういうところに魅力を感じ、なぜ取材したいと思ったのかを、しっかり自分の心に向き合って考え、ひとことですませず、具体的に書いて(話して)伝えれば、きっと相手の心をつかめることでしょう。相手の心をつかめたらあとは取材は簡単です。

取材相手の心をつかむ…そう、読む人の心をつかむ文章術でやってきたことの応用バージョンです!

不可欠な段取りは下調べかな。何も知らずに行くのと背景や知識がある程度あるのでは解像度が違う。ただし取材のときは調べたことを確かめるのではなく、さらなる発見・感動を探していきます。

モットーは、取材に応じてくれた相手にとってもよい時間にする!秘訣は愛です。先入観を捨てて、心を開いて、取材対象(人でも場所でも)に対して好き好きオーラを発していれば、五感も活性化しますし、たぶんうまくいきます。

「情報」を書くなら本を読めばできる。でもN.Aさんの言われるように人との関係や出会いは足を使わないと体験できない。取材相手を描写することも大事ですが、自分の心がその人と出会って何を感じ、どう動いたかもいっぱい文章にしてみてくださいね!